お知らせ
深見医院からのお知らせです。甲状腺の病気、甲状腺機能低下症の橋本病(慢性甲状腺炎)とは?
橋本病は、免疫の異常により甲状腺が炎症を起こし、徐々に働きが低下する病気です。甲状腺は首の前にある小さな臓器で、**体の新陳代謝を調節する「甲状腺ホルモン」**を作っています。
この病気は特に30〜50代の女性に多いですが、男性や若い人にも起こることがあります。進行すると**甲状腺ホルモンが不足(甲状腺機能低下症)**し、さまざまな症状が現れます。
主な症状
橋本病が進行し、甲状腺ホルモンが不足すると以下のような症状が出ます。
- 疲れやすい、だるい
- 寒がりになり汗をかきにくくなった
- 体重が増えやすい(食事量が変わらなくても)
- むくみが出る(顔・手足など)
- 気分が落ち込みやすい、集中力が低下する
- 肌が乾燥する、髪の毛が抜けやすい
- 脈が遅くなる、動作がゆっくりになる
ただし、初期の段階では症状がほとんどないことも多く、健康診断などで偶然見つかることもあります。
診断と検査
橋本病は血液検査と超音波検査で診断できます。
① 血液検査(ホルモンの状態を調べる)
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)
→ 高いと、甲状腺の働きが低下している可能性 - FT4(甲状腺ホルモン)
→ 低いと、甲状腺ホルモンが不足している - 抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体
→ これらが陽性だと、自己免疫の異常(橋本病の可能性)が高い
② 甲状腺の超音波検査(形や炎症の状態を確認)
- 甲状腺が腫れているか
- 組織が変化しているか(線維化・結節など)
橋本病の甲状腺エコー写真
治療について
橋本病自体を完全に治す方法はありませんが、甲状腺ホルモンが不足している場合は、「レボチロキシン(チラージン)」というホルモン薬で補充します。
ホルモン薬は、体に足りない分を補うだけの治療なので、適切に使えば副作用はほとんどありません。定期的な血液検査を受けながら、適切な量を調整することが重要です。
橋本病は、適切な治療をすれば普段通りの生活が可能です。気になる症状がある場合は、早めに内科や内分泌科を受診しましょう。